純セレブスピーカー製作記

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七月末に初の Win 10 マシン hp ENVY x360 13 (Ryzen 5 4500U) を購入しまして、ちゃぶ台の上に置き、「何でもできるなぁ…(当たり前だ)」と呆れながら、音を出す方策を考えました。本体に Bang & Olufsen スピーカーとヘッドフォンジャックはあれど、オンボードのサウンドシステムでは物足りない。普通のノートブック PC の音をグレードアップさせる、純セレブスピーカーを付けましたという話。

純セレブスピーカーって何ですか

知っている人は知っている、知らない人の方が多いに決まっている。チープなスピーカーユニットと段ボール箱で作る自作スピーカーです。極限までシンプルな物体から、「は?」と脳が情報量処理に支障をきたす、アンビリーバブルないい音が出る。今年の初めに一台目を作り、机の MBP に繋いで幸せになりました。そんないい音なのかよ?と試すだけでもやってみ。工作、楽しいので。

作るって言われてもな

自分はこの工作のためにハンダゴテを買ってきたくらいの工作ドシロート、でも作れる。知見を惜しみなく披瀝されている製作者・片岡さんのこの動画だけで作れる。道具は要りますが。自分で作る工程が楽しいし、音が出た時に感動する。

材料と道具

  1. まずはよい箱を日頃から物色しておきます。通販で高いものを買うと、よい段ボール箱に入ってくることがある。「この箱をたたんで捨てるには忍びない…」のは、かっこいいスピーカーになるでしょう。サイズも重要。自分の一台目は、Twelve South Curve(Apple Store に売ってるよ)のグレーの中箱で作りました(一体型)。二台目は、後で出てくるアンプの箱。同じアンプを二台買って(バカなの?)、箱二つの左右分離型です。ビニールコーティングされたツルツルの箱はよろしくない説もあり、気になるなら気にしてください。箱を買う、生き急ぐ人もいますよ。まずは箱から。スピーカーでは、エンクロージャーと呼びます。
  2. ダイソーに行きます。USB ミニスピーカー¥300 を探します。スマートフォン用品売場にあることが多いです(無い店舗、品切れもあります)。見つけた!らそれを掴んでレジに向かう前に、もう一つ買うものがある、工具売場へ。ケース入りドライバーセット 6 本(黄・緑・赤・各 2 本+黒ハンドル)の柄が細いやつ! これが専用工具のようにぴったり。持っていない人は同時に買っておくのが吉です(自分はもう一回行きました、正月に)。緑のプラスドライバーでスピーカーを開け、スピーカーユニットを取り出すのです。
  3. ホームセンターで調達するのは、
    • ハンダゴテとハンダ
    • ハトメ
    • サークルカッター
    • (熱収縮チューブとヒートガン?) ←無くても出来る
    • 持っていないならラジオペンチ

    これ全部ダイソーにある説…。ハトメは、ハサミ型のを用意したのですが、相手が箱だと穴を開ける場所に限界があります。片岡さんの動画をちゃんと見ると別の工具でやってます。「ハトメ無くてもいける」ワイルド派もいらっしゃいますよ。
    B000TGO0S8
    サークルカッター ↑

  4. スピーカーケーブルとアンプを調達。ここのハードルがけっこう高い。自分は、プロケーブルさんに頼ることにして悩むのを止めました。プロケーブル、初めて見るとドン引きの超ディープなピュアオーディオの世界。我らはライトな自作スピーカーが作りたいので、黙ってケーブルを頒けてもらいましょう。WE 24GA を机上に必要な長さ(測る)と、アンプは DAYTON DTA-120BT でやっています。
    スピーカーケーブルは絹巻きのエナメル線! 糸の皮を 5cm〜 ほど、くるくる剥いて切り、出てきた黒いエナメル線をハサミやカッターナイフの背でガリガリ削ると、単線の銅線が現れます。エナメル線剥離、小学校の理科でやったような微かな記憶…。義務教育が今ごろ役立つとは。単線は硬く、取り回しが少し難になります。据え置きなら問題ないでしょう。
    アンプは純セレブスピーカー界隈に諸説ある中、高級なものになります。自分のニーズは、音源の MBP とノートブック PC から Bluetooth で飛ばしたい、かつ、ヘッドフォン沼の住人としてヘッドフォンアンプが欲しい。余談は今回、プロケーブル決め打ちの AKG K240 Studio を付けました。ベルデン白にリケーブル(商品ページの 3.5mm プラグでは DTA-120BT に繋げません! 別ページに適合の 6.3mm プラグがあります)。リケーブルも沼なので悩んでくれ(洋楽はベルデン、古い音源ならノイマン、邦楽ならモガミ)。よくわからないまま、非メッキメガネ電源ケーブルも付ける。スピーカーケーブル安いのに大出費になる。スマートスピーカーより安いや…、と涙を拭う。もう一つ、プロケーブルさん梱包の緩衝材が、スピーカーの吸音材に使えます。取っておきましょう。

工程

製作時間は多めに見積もって二〜三時間です。自分はトロいし緊張して手が震える。今回はハンダゴテをいい加減に置いて手ぬぐいを焦がす事故が発生した。気をつけましょう。片岡さんの動画を流しながら、のんびりやるとよいと思います。

  1. ダイソースピーカーを開けてダイソーユニットを取り出す
  2. スピーカーケーブルの末端処理(8 箇所、けっこう大変なエナメル線剥離)
  3. スピーカーユニットにスピーカーケーブルを半田付け(プラスマイナスに注意)
  4. エンクロージャー(=段ボール箱)の天井に、サークルカッターで半径 2.5cm の穴を開ける。定規で中心を出し、そこに針を刺して、段ボールを回して切る(スピーカーユニットを、穴の上にポン乗せするイメージです)
  5. スピーカーケーブルを外に出す穴をハトメで開ける(2 箇所)
  6. エンクロージャーとスピーカーユニットを組み合わせる
  7. 箱の中に、和紙系の紙をくしゃくしゃにして入れる。半紙とか、緩衝材の紙とか。半田付けを熱収縮チューブで絶縁していない場合は、そこに紙が決して接触しないように。発火の危険があります
  8. 箱を閉じ、アンプに繋ぐ(プラスマイナスに注意)
  9. 音源からアンプを鳴らし、音が出たら成功! いい音!

簡単な改造

やらないより、簡単なことはやっておこうというスタンスで、

  • スピーカーユニットと穴の間をティッシュペーパーで浮かせる
  • 逆インシュレーターのタオルを敷く(これも浮かせる効果)

だけやっています。段ボール箱全体を、自由にしておく方向性。ティッシュペーパーは、折れ目をハサミで切り、長辺を三つ折り→三つ折り→半分(それぞれ、端を内側に折り込む)で、ちょうどいい太さになりますので、スピーカーユニットの下に一周丸く沿わせて、余りを切り取ります。

音源

現代は、Web に無限の音源があるのですね。素晴らしい。うちは MBP+Roon+TIDAL が主力で、史上最高のジュークボックスを、おすすめはしません(それなりに大変で)。洋楽好きの方なら、挑戦する価値があります。Win 10 をコントローラーにして鳴らせるんだな、これが。テクノロジー…。radiko で TBS ラジオを聞きますし、流しておくのは Calm Radio がよいですよ。600 近いチャンネル数の、頭がどうかしているサービス、試してみてください。OTTAVA, KEXP, BBC Radio 6 Music も時々。海外ラジオは時間帯が合わない難点がある。こっちの夜中が向こうの昼でやたら元気だったりする。純セレブスピーカーは、音楽はもちろん、人声が自然で、トーク系の動画も何でもよく鳴る万能型です(音源の不味さもそのまま、素直に、出ます)。高価なアンプ内蔵 Bluetooth スピーカーやスマートスピーカーと勝負して勝つでしょう。ほんとよ。

暗黒面

誉めたたえる純セレブスピーカーの落とし穴について言及しておくのがフェアというもの。ダイソーユニットが安物ゆえに、片岡さん動画に説明のある「20〜25 コに一つ」の高確率の不良品に、二台目で当たりました。ボリュームを上げるとビビリ音が出る。組み上げてから「不良品でした」は、ダメージ大きいです。作り始める前に検品する体制を作らないと…。→まだ作るつもり。ここまで来て、「わりと大変じゃん!」と思った方は、半田付け済みの公式キットを購入する手もありますよ。

参考になる

井川さんの研究レポートは凄いです。自分のように安きに流れない姿勢に敬意を表します。作る前に読んでも意味がわからないかもですが、パーツのおすすめなど参考に。井川さんが見つけ出した最適のアンプ、次は使ってみたいと狙っています。