カレーライスの屈託

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カレーライス好きですか? きらいな人は少ないだろうし、食べ歩きのテーマになる人気メニューです。今日カレーライスを食べていて思い出した屈託について。古い記憶なので、うまく書けるかな…。
団塊ジュニア世代のわたくしの小さい頃は昭和の高度経済成長期、百貨店の最上階に大食堂があり、そこで家族で食事をするのが楽しみとされていました。うちは貧乏な家庭だったので、ハレの舞台でめったに行かなかった。連れて行った子供を喜ばせるメニュー、お子様ランチ。そんなものは食べたことがない。いちおう、形式上、何がいい?と聞かれたようにも思いますが、そこではメニューの一番下、一番安い「カレーライス」と答えるのがよい子とされていました。食堂にカレーライスのないところはないので、いつもどこでもカレーライスだった(もちろん一人前じゃなく、大人の食べるメニューを分けてもらうのです)。そしてそのうち、「この子はカレーライスが好きやなぁ」と定着した。

好きじゃねえ。

小学校低学年の子供がカレーライス以外を食べたことがなく、メニューを見ても字が読めても、他がどんな食べ物かわからなかった。それなのに毎回、「自分で」「カレーライスを」「選ばされる」、あの絶望感。
なので大人になって、カレーライスは好きですよ。けれど、専門店で食べます。他に選べるメニューがある時にカレーライスは頼まない。カレーライスは選ばない。