ミランダ・ジュライ「いちばんここに似合う人」

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いちばんここに似合う人 No one belongs here more than you. Miranda July

・水泳チーム
・妹
・わたしはドアにキスをする
わたしは今、仕事をクビになって時間がある。それで一冊の本を、大事に読んでみたいと思った。Twitter で、発売前に装丁を見て、期待が高まった。黄色い本。みんなが楽しみにしていた。
短編集で、伏流するテーマは、孤独といろいろな形のセックス。特に上の三編は鮮やかで泣いた。冴えない人々が背負っている、かっこうの悪い人生から、救いを求めて伸ばされる腕。結び合わさるもう一つの人生も、それにお似合いのものでしかない。不器用な人たちを憐れむのでなく、彼らは自分に似ていて、可笑しい。わたしもそう、どうしようもないまま生きて、歳をとる。一瞬、閃くことがあるのかもしれない、ないかもしれない。見逃してしまって、ずっと後で思い出すように、これらの短編は描かれている。フィラメントだ。わたしはそれを美しいと思う。自分をぶつけて、壊れる。それでも人生はまだ終わらない。
孤独な人は読むといいと思う。孤独でない人なんて、いないのだ。