西原理恵子「カネの話」を読む(立ち読み)

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西原理恵子「カネの話」を立ち読み。よりみちパン!セのシリーズのようで、若い人に向けた本だった。
西原は、核心に触れる能力に恐ろしく長けた人だと思う。「サケの話」も近くに積んであったので手に取ったら、冒頭のショートストーリーでもう泣けて先が読めない。そうなのだ。いつも泣いてしまって、続きが読めない。最後まで読んだことがない。西原は一冊も持っていない!
鴨ちゃんを見送っていたことを知ったのも今年になってからだった。業の深い人生だなぁ、と遠くから見るだけだけれど。決してキライではなく、その作家性を高く評価するものでありながら、一冊も読み切っていないのが複雑な心境だ。
絵は雑だと思う。下手なだけでなく、特に連載エッセイまんがの、売れっ子ゆえの忙しさにまかせた雑さは、あまり評価できない。取り上げるテーマも、自分からは遠すぎて、アジア放浪も、もっと前の麻雀も。それだけ長い期間、衣を替えながら一線で描き続ける凄み。成り上がり雑草の強靭さを絶えず感じる。
「カネの話」を手に取ったのは、自分がいつも金に困っていて、さらに今、また人生の曲がり角にいるような気がするからだ。給料が満額出ない。交通費にもならない。それで働く意味はあるのか、と。
その答えにはならないのだけれど、成功した人の苦労話や生い立ちは励みになる。そしてまた、西原の本を購入する機会を逃した。